不動産を所有する必要がなくなったなどの理由で、物件の売却を考える人もいるかもしれません。
しかし、安易に売却しようとすると、なかなか売れない物件となる可能性もあります。
そこで、この記事では不動産が売れない場合の理由やその対策はもちろん、テコ入れとしてのリフォームの是非やその際の効果的な方法などを紹介します。
売りに出した不動産は、半分以上が3か月未満で売れています。
しかし、売却に出してもなかなか買い手が見つからず、売れないケースも少なくありません。
全体の約1割は、売買成約まで1年以上を費やしています。
物件が売れない主な理由は、以下の3点です。
売り手も買い手も気にしている点が物件の価格です。
適正な相場価格より高い値段をつけてしまうと、買い手が離れてしまいます。
売却当初から値段が高い場合はもちろん、査定から販売開始まで時間がかかっている場合も要注意です。
その間に不動産全体の需要が変わっていたり、隣に日差しをさえぎるビルが建つなど、いつの間にか物件条件が変わってしまっていたりする可能性もあります。
目安として、見学者は来るものの成約に至らない場合は価格と物件にギャップがある可能性が、見学者がほとんど来ない場合はそもそもの価格設定が高すぎる可能性が濃厚です。
見学者は、物件の状態以上に売主のこともよく見ています。
物件であれば、部屋の広さなど基本情報はもちろん、水回りの汚れや物件全体の臭いなど現在の売主の生活に由来する条件にも敏感です。
引き渡し時にハウスクリーニングをする場合であっても、現在のイメージが悪ければ、見学時に感じた印象がいつまでもちらついてしまいます。
また、売主やその家族の印象がもたらす効果も意外と無視できません。
挨拶ができていなかったり、見学者の信頼を得られない態度であったりすると、物件に対する印象まで下げてしまいます。
本人の対応は良くても、家族がたばこを吸っていたり子どもが騒いだりした結果、全体的なイメージの悪化を招いた例もあります。
マンションなど集合住宅の場合、複数の物件が同時期に売りに出されている場合があります。
この場合、自身の物件そのものには非がなくても、階数や方角などの条件により別の部屋が選ばれるケースが少なくありません。
このような場合、値段についてはよりいっそうの注意が必要です。
物件そのものの金額だけでなく、管理費などの維持費が足を引っ張っている可能性もあります。
大規模修繕が近い将来に迫っている場合、修繕積立金が不足していると入居後に臨時徴収されるようなケースも起こり得るでしょう。
このように、集合住宅では自分の部屋以外の条件も一戸建て以上に複雑に絡み合います。
以上のように、物件が売れない理由はさまざまです。
しかし、それぞれ以下のような対策があります。
自分の物件が売れない物件の仲間入りにならないよう、しっかり対策を立てておきましょう。
一般的な査定では、近い時期に売れた類似の物件の販売価格をもとに、「販売開始から3カ月程度の期間内で売却する際に適した額」が算出されます。
3カ月に1回を目安に、不動産会社の担当者に価格見直しの相談をしてみましょう。
また、さほど時期が経っていなくても、改めて査定すれば販売価格に差が生じる場合もあるかもしれません。
これまで不動産を売却した人の8割は、当初の価格より100万円以上値下げしたとされています。
適切な販売価格は、常に揺れ動くものなのです。
また、どうしても早く確実に売りたい場合、「買取保証制度」のある不動産会社を検討するのも対策方法の1つです。
この制度では、あらかじめ設定した期間を過ぎると、契約先の不動産会社が物件を買い取ってくれます。
その際の買取価格は、通常の売却価格より安くなる傾向にありますが、売り出し期間が長引くと適切な販売価格がさらに下がる可能性もあるため、確実な売却を目指す人におすすめです。
物件や売主の第一印象が良ければ、同じ条件でも物件が売れやすくなります。
明るさと広さを意識し、すっきりとした印象を持たせましょう。
物は整理整頓し、不用品が多いようなら処分も検討してみてください。
買い手が特に気にしている場所は水回りです。
水回りを中心に、物件中の汚れやカビを落とし、消臭や換気を徹底しましょう。
同じ物件でも、インテリアや雰囲気が違えば別物のように感じます。
部屋が広く見える家具配置に変更するだけでも立派な対策です。
また、不動産会社の営業担当がついていても、売主が率先して的確に対応すれば、買い手が心を開きやすくなります。
売却したい物件で気に入っている点や近隣住人の情報など、質問があった際に居住者ならではの回答をすると実際に住んだときのイメージを掴みやすいです。
売主側で登場するのは1人に絞り、あとの家族はペットも含めて外出させておくと良いでしょう。
不動産会社の営業担当から客観的なアドバイスをもらうと、自分では気づかなかった点にも対策できます。
不動産のことは、不動産会社に相談するのが一番です。
販売の促進方法など、気になる点は積極的に相談して担当者と信頼関係を築きましょう。
売主の積極性が伝われば、担当者も売主の気持ちに応えられるよう、いっそう真剣に取り組みます。
担当者と二人三脚で売却を目指せば、売れない物件もきっと売れる物件へと変貌します。
売却する物件が古い場合、リフォームしてから売った方が売れやすいと考える人もいることでしょう。
しかし、中にはリフォーム済みであるにも関わらず売れない物件もあります。
リフォームをしないと売れない、とは必ずしも言い切れません。
その理由と、リフォームに踏み切る際の効果的な方法を紹介します。
基本的に、中古物件の売却時はリフォームをしない方がよいとされています。
まず1つは、価格面の問題です。
多少綺麗になったとしても、築年数や中古物件である点などは変えられません。
そのうえで数百万円以上の費用がかかると、どうしても競合物件より価格面で不利となります。
多大な費用をかけたにも関わらず売れないという最悪のケースにもつながりかねません。
また、買い手の中には、自分好みに改装するために中古物件を探している人もいます。
もしその人達が購入を検討していた場合、下手にリフォームをすると見放されてしまい、かえって売れない物件となってしまいます。
中古物件にはそのような購入理由も考えられるため、リフォームせずに価格を据え置いた方が、自分で改装したい層の目にも留まりやすくなるのです。
とはいえ、リフォームした方が物件の印象が良くなり、早く売れるケースもあります。
壁紙の新調や電気のスイッチの交換など、こだわりを持つ人が少ないちょっとした点であれば、生活感が薄れるので効果的です。
また、傷や汚れを放置しておくと買い手の第一印象を悪化させるため、それらの補修であれば誰からも歓迎されます。
このような補修であれば、ホームセンターで道具や材料も調達できるため、手軽でありながら物件のイメージを向上させることができます。
それでも、実行に踏み切る場合は、不動産会社と相談して慎重に行いましょう。
売却希望にも関わらず売れない物件も少なくありませんが、それには売れないなりの理由があります。
売れない理由があっても、正確に突き止めてしっかりと対策をすれば、通常の不動産であれば売却に持ち込めます。
また、売れないからといってやみくもにリフォームをするのは考えものです。