「不動産を相続することになったが、何をすれば良いのかわからない」
「不動産相続手続きに関する必要書類について知らない」
不動産相続について詳しく知らないという方は、少なくないでしょう。
不動産を相続するにあたり、相続手続きの流れや必要書類、遺産分割について、事前に知識を蓄えておくと、スムーズに手続きを進めることができます。
今後、不動産相続をする予定のある方は、本記事をご覧ください。
まずは、不動産相続の流れについてご説明します。
不動産を相続することになった際、何から始めたらよいのか、どのように手続きを進めたらいいのかについて、詳しくご紹介します。
不動産相続は、以下のような流れになります。
①
死亡診断書と死亡届の提出(被相続人の死後7日以内)
↓
②
遺言書の確認・調査
↓
③
相続人の調査・確定
↓
④
相続財産の調査・確定
↓
⑤
相続財産目録作成
↓
⑥
遺産分割協議
↓
⑦
遺産分割
↓
⑧
名義変更の手続
↓
⑨
相続税の申告・納付手続
このように、9つの手順を踏んでようやく不動産相続の手続きが完了します。
一見難しそうに見えますが、ポイントをしっかり押さえれば、初めての方でもスムーズに手続きを進めることができます。
ここでは、ポイントとなる部分にフォーカスして、詳細をご紹介します。
不動産相続は、不動産の被相続人が死亡した場合に発生します。
被相続人の死後7日以内に、「死亡診断書」と「死亡届」を役所へ提出する必要があります。
被相続人死亡後、速やかに提出することをおすすめします。
被相続人が残した遺言書に関する調査・確認作業が行われます。
被相続人が生前に遺言書の存在を知らせている場合は、比較的短時間で済ませられますが、遺言書が見つからない場合もあるでしょう。
遺言書の保管場所は、自宅のタンスの中や机の引き出しが使われるケースが多いと言われています。
自宅以外では、銀行の金庫内で保管されている場合もあります。
自宅・銀行金庫の両方で見つからない場合は、被相続人が「公正証書遺言」を遺している可能性があります。
公正証書遺言とは、公証役場にて公証人が作成する遺言のことです。
公証役場の「公正証書遺言検索システム」でも探すことができます。
また、裁判所によって「遺言書が複製されたものではないか」「偽物ではないか」等が確認される場合があるため、遺言書を見つけた際は開封せずに保管しましょう。
遺言書が見つからない場合にするべきことをご紹介します。
遺言書が見つからない場合、被相続人の戸籍謄本や除籍謄本を確認し、親や兄弟、子どもなど親族に当たる人物をすべて調査した上で、相続人が決定されます。
相続人が確定した後に行うのが、「相続財産の調査」です。
相続財産には、「プラスの財産」と「マイナスの財産」があり、預貯金等はプラスの財産、借金はマイナスの財産に該当し、両方を相続します。
分割協議とは、「被相続人の遺産を誰が受け取るかを決定するために相続人の間で行われる話し合い」です。
遺産分割には、様々な分割方法があります。(本記事の後半でご紹介します。)
ここまでの不動産相続の流れは、把握できましたか?
さて、不動産相続には様々な書類が必要です。
残念ながら、書類一枚で済ませられる類のものではありません。
不動産相続で必要とされる書類についてご紹介します。
・必要な書類
不動産相続に必要な書類は、以下の通りです。
・不動産の相続登記の必要書類
・被相続人の戸籍謄本
・被相続人の住民票の除票
・相続人の戸籍謄本(全員分)
・相続人の住民票抄本(全員分)
・相続人の住民票謄本(全員分)
・相続人の印鑑証明書(全員分)
・不動産の固定資産評価証明書
・不動産の全部事項証明書
・被相続人の死亡診断書
・被相続人の死亡届
・遺言書
・税金の計算方法
不動産の相続をする場合、相続税や登録免除税が発生します。
それぞれの計算方法・計算式は、以下の通りです。
・登録免許税の計算方法
登録免許税=固定資産税評価額×0.4%
・相続税の計算方法
(相続税の合計金額-基礎控除額)×税率-控除額
※相続税の基礎控除額=3,000万円+相続人の数×600万円
【不動産相続のポイントとは?遺産分割】
「遺産分割」について詳しくご紹介します。
遺産分割には、現物分割・代償分割・換価分割・共有分割の4つの分割方法があります。
それぞれの分割方法には、特徴がありますので、最も適切な方法で遺産分割を行うことが重要です。
<現物分割>
現物分割は、「被相続人が遺した財産の形を変えることなく分配する方法」です。
例えば、車や土地が財産として残されているのであれば、売却して現金にして分配するのではなく、長男には土地を、次男には車を、というように元の形のまま分配します。
これからご紹介する他の3つの分配方法と比べると、比較的シンプルな分配方法です。
現物分割のメリットは、財産の計算をする手間を省けることです。
<代償分割>
代償分割とは、「特定の財産相続で他の相続人より多額の利益を得た場合に、現金などで超過分を補填する分割方法」です。
現物分割と比べるとやや複雑です。
例えば、相続財産が2000万円相当の土地のみで、それを長男と次男で分ける場合、長男が土地を相続した上で、次男に1000万円の現金を譲渡します。
代償分割のメリットは、相続人の間で公平に分配できることです。
<換価分割>
換価分割は、「財産を金銭に換えて分配する方法」です。
例えば、家や車などの財産を売却し現金化した上で、分配を行います。
また、相続人が2人いるのに財産は土地しかない場合も、この方法が適しているでしょう。
この場合は、財産の土地を売却し、売却代金を2人で分け合うことができます。
換価分割のメリットは、公平に分け合うことができることです。
<共有分割>
共有分割とは、「財産を相続人の間で共有して遺産分割を行う」方法です。
他の3つの分割方法と異なり、分配することのできない性質をもつ財産の場合に用いられる方法です。
他の方法で分けられない場合や、話し合いで解決が難しくなった場合に最終的に選ぶ方法として理解しておくといいでしょう。
本記事では、不動産相続に関するポイントをご紹介しました。
不動産相続の手続きは、複雑で難しいものと思われがちですが、あらかじめポイントを理解しておけば、スムーズに手続きを進めることができます。
遺産分割の方法については、相続人との話し合いや財産の性質等を考慮した上で最適な方法を選びましょう。
不動産相続について不明な点がある場合は、専門家に相談してみましょう。