土地は、平等に分割することが難しいため、土地の相続をめぐり、兄弟でトラブルになることはよくあります。
親の面倒をみてきたから自分が土地をもらうべきだとか、親と同居していたから自分のものだとか、それぞれの言い分があり、とにかく揉めることが多いです。
なかには、たった30センチの土地の道幅が譲れず、最終的には、裁判で争うことになってしまったというケースもあるようです。
土地の相続時に起こるトラブルは避けられないものなのでしょうか?
この記事では、土地の相続時に発生するトラブルの原因と、その対策方法について説明します。
遺産相続では、兄弟・姉妹の間でトラブルが起こりやすいのですが、とくに土地相続は、トラブルになりやすく、兄弟で揉めてしまうことが多いです。
まずは、土地相続がトラブルになりやすい原因をチェックしておきましょう。
土地を含め、相続財産は、不公平にならないように、兄弟・姉妹で平等に分けようと考える人が多いようです。
しかし、この平等に分けようとすることが、土地相続のトラブルを招いてしまう原因となってしまいます。
国税庁の相続税の申告状況によると、相続税の申告が必要な人の、相続財産に占める土地と家屋の不動産の割合は、43.3%にもなります。
つまり、相続人が3人以上いる場合、平等に分割することは難しいのです。
両親の面倒をみていたり、ずっと介護をしていたり、同居していたりする場合は、両親の土地は、自分がもらえるものと思い込んでいる人が多いです。
両親と一緒に建てた二世帯住宅の場合も、両親が亡くなれば、いずれは自分たちがもらえるものだと勘違いしている人もいます。
しかし、一緒に住んでいた、介護していたなどということは、法律で決められたルールではなく、単なる本人の主張ということになります。
介護など、親にたくさん貢献したから、土地は自分がもらえるものという考えが、土地相続のときに揉める大きな原因となるのです。
両親が亡くなり、土地を相続しようと書類の手続きをはじめたら、土地の名義人の名前が、父親ではなく、祖父の名前のままだったということもよくあります。
不動産の名義変更は、義務ではないため、未変更のままであるケースは案外多いようです。
土地の名義人が、父親ではなく祖父のままであった場合、さかのぼって書類を作成しなければならず、トラブルになることも。
また、遠い親戚などの署名・捺印も必要となり、なかなか対応してもらえずトラブルに発生することもあります。
土地を相続する場合、相続税を納税しなければなりません。
親が亡くなった後、現金の相続がなかった場合は、相続税は相続した人が自身の貯蓄などから支払わなければならないのです。
また、相続税は、亡くなった日の翌日から、10ヶ月以内に現金で支払いしなければならないため、現金の準備がないと、トラブルになってしまうでしょう。
両親が亡くなったあと、その家に誰も住まないということもあります。
そうなると、家は空き家になってしまいます。
誰も住まないのに、家族の中に「思い出の家を壊したくない、売りたくない」と思う人がいれば、土地の売却手続きなどを行うことができず、トラブルになります。
壊したくない、売りたくないということで、家をそのままの状態で放置しておくと、空き家となってしまい、老朽化がすすみ、ネズミや下水の臭いが発生し、周辺の住宅に迷惑をかけてしまうことになりかねません。
土地の相続をめぐっては、さまざまなトラブルが発生し得ることがわかりました。
では、トラブルを未然に防ぐには、どのようなことを行っておけばよいのでしょうか?
土地相続のトラブルを未然に防ぐ、対策方法を紹介します。
早めに対処しておくと、いざ土地相続手続きをはじめたときでも、揉めずに安心です。
土地相続は、亡くなった両親などの遺言があれば、トラブルになることはありません。
両親が亡くなったら、まず遺言があるかどうかを確認してください。
遺言には、亡くなった人の意思が記載され、尊重されるため、それに従って土地などの相続を行うことができ、スムーズです。
遺言書に書かれている内容が優先されるため、家族で相続をするときに揉めることも少ないです。
家族円満な相続には、遺言状が欠かせないといえるでしょう。
また、亡くなった両親の土地や財産をどのように相続するのかを、兄弟・姉妹で話し合う、「遺産分割協議」を行い、その話し合いの結果を「遺産分割協議書」に作成しておくと、トラブルを防ぎ、円満に相続することができます。
「遺産分割協議書」は、相続人全員の署名・捺印が必要です。
土地や不動産を相続する場合、まず売却しなければなりません。
売却するときにも、費用はかかりますから、その売却費用をしっかりと記録しておくことが重要です。
きちんと記録しておかないと、あのとき自分がいくら払った、勝手に差し引いたなど、費用に関するトラブルを避けることができるでしょう。
また両親が亡くなってからではなく、同居をはじめたとき、介護をはじめたときなど、普段から家族で相続に関する話し合いをしておくことがポイントです。
亡くなる前、つまり生きている間に、財産をだれかに贈る行為を「生前贈与」と言います。
<メリット>
・大きな節税が見込める
生前贈与では、節税と減税が見込めます。
生前贈与した場合と、しなかった場合とでは、相続税の金額が大きく異なります。
贈与税は、「暦年贈与」と「相続時精算課税制度」のシステムに分けられますが、「暦年贈与」の場合、1年あたり110万円まで、贈与税が課税されません。
「相続時精算課税制度」の場合、対象の相手からの贈与であれば、累計で、2,500万円まで、贈与税が発生しません。
また、相続人の数が多ければ多いほど、より大きな節税が見込めるのもポイントです。
・相続する相手や時期を自由に選べる
誰に贈与するのかを、贈与する人が自由に選べるため、無駄なトラブルを防ぐことができます。
相続でのトラブルで多い、誰がどの遺産をもらうのかということがあらかじめハッキリするため、揉めることがなくなります。
また、いつ贈与するのかという時期も選べるため、土地など価格が変動するものを、事前に贈与することで節税に繋がる可能性も高いです。
<デメリット>
・税金が発生する
土地や不動産の贈与の場合は、「登録免許税」や「不動産取得税」などの税金がかかります。
生前贈与は、節税のメリットがありますが、税金の発生金額と節税効果が見合っているのかをしっかりと把握してから行わないと、デメリットだけになってしまうこともあり、注意が必要です。
・相続から3年以内の贈与は無効に
土地の相続をするときは、兄弟や姉妹の間でトラブルが発生してしまうことが大変多いです。
土地相続によって、家族の仲が悪くなってしまうのは避けたいですね。
土地相続トラブルを未然に防ぐために、日頃から家族で話し合い、円満な相続ができるように対策を行っておきましょう!