国の「働き方改革」により、時間や場所を有効活用できる、柔軟な働き方であるテレワークの推進がすすめられています。
テレワークには、サテライトオフィス勤務・モバイル勤務・在宅勤務があります。
さまざまなテレワークのなかでも、とくに推進がすすめられているのが、サテライトオフィス勤務のひとつである、ふるさとテレワークです。
この記事では、ふるさとテレワークとはどんな働き方なのか、どれくらい街で推進がすすんでいるのかについて、解説していきます。
たくさんのメリットがある、ふるさとテレワークの理解を深めましょう!
国の働き方改革実現へ向けて、テレワークの働き方は、少しずつ日本でも浸透してきています。
テレワークは、取り入れることが難しいこともありますが、実現しやすく、注目されている働き方が、ふるさとテレワークです。
ふるさとテレワークとは、都心部から離れた地方などに、サテライトオフィスを設けて、都市部の仕事を行う、一歩進んだ働き方です。
ふるさとテレワークの推進によって、混雑している都心部の街から、地方へ人や仕事を移動させることで、地方で人材を獲得することができ、地方の街を活気づけることができます。
つまり、地方創生を実現でき、国が推進する働き方改革を実現することができるようになるのですね。
ふるさとテレワークで働く人は、都市部から派遣される「地方移住者」と、従来から地方に在住している「地元ワーカー」に分けられます。
「地方移住者」は、都市部の企業の従業員が、地方のオフィスに派遣され、本社で行われる一部業務を地方で行う「ふるさとオフィス」タイプと、実家などがある地方への移住を希望する従業員が、都市部の仕事を行う「ふるさと勤務」タイプがあります。
「地元ワーカー」は、もともと地方で企業した個人事業主などが、情報通信技術、クラウドソーソングなどを利用して、都市部の仕事を地元で行う「ふるさと起業」タイプと、都市部の企業が、地方でテレワーク勤務者を新規で採用する「ふるさと採用」タイプがあります。
ふるさとテレワークは、地方で時間や場所の制約による影響を受けないため、さまざまなメリットがあります。
子育てや親の介護などで、都市部から離れた故郷へ戻らなければならず、やむを得ず、勤務先を退社しなければならないというケースは、これまで多く発生していました。
ふるさとテレワークが実現すれば、退職することなく、地方で同じ仕事を続けることができるのです。
これは、現在の多くの企業が抱えている、人材不足の解消にも繋がります。
ふるさとテレワークを取り入れることで、優秀な人材を獲得でき、流出を阻止することもできるのです。
また、地方の暮らしは、家賃や物件が安い、自然の中で暮らせる、のびのびと子育てができるなど、たくさんのメリットがあります。
ふるさとテレワークで、長期的な地方勤務が可能になれば、柔軟な働き方により従業員がより働きやすくなるため、モチベーションがアップし、パフォーマンスも向上します。
また、ふるさとテレワークは、予期せぬ災害時のリスクを最小限に抑えることができるというメリットもあります。
企業にとって重要な情報データを都心部の一箇所にしか保存していなかった場合、地震や火事などの大災害が発生すると、すべてを失ってしまうことになります。
離れた地方に、データなどを分散して保存しておけば、安心ですね。
ふるさとテレワークは、都市部にある企業が、地方にオフィスを設けて、都市部から地方へ、人や仕事の流れを創り出し、地方創生を実現させることが目的です。
ふるさとテレワークの中でも、それぞれの地方の街に注目し、その街の特徴や個性を活かしながら、街ごとテレワークを実現する「街ごとテレワーク」により、成功した地方自治体が多くなっています。
過去のふるさとテレワークの成功例をいくつか紹介しますので、確認してみましょう。
福岡県にある糸島市は、海と山に囲まれた自然豊かな街で、地元の人の間でも、移住先として人気があります。
糸島市は、福岡市の都心部である天神や博多からも、車で40分ほどの場所にあり、地元の人でもアクセスしやすいです。
2015年に、ふたつのテレワークセンターが開設されました。
「前原テレワークセンター」は、地元糸島に住む女性たちが、子育てや育児をしながら、仕事ができるコワーキングスペースです。
福岡の地方に住む人のテレワークを可能にした、街ごとテレワークのスタイルを実現しているのですね。
「前原テレワークセンター」では、ママライター育成講座が開催され、受講したメンバーが中心となり、ライターチームが発足され、大成功を収めています。
もう一つのテレワークセンター「芥屋テレワークセンター」では、東京から13人が派遣され、問題なく都心部の業務を地方でこなすことができ、事業実施期間中、451人が利用し、ふるさとテレワークの成果を得ています。
高崎市は、「ふるさとテレワーク推進のための地域実証事業」により、東京都心部から、高崎市へ、仕事や人の流れを図ることを目的にしています。
テレワーカーが働きやすいオフィス環境を、街ごとしっかりと整備したことが、高崎市のふるさとテレワーク成功へ導いたようです。
ふるさとテレワークの勤務地で働く人の孤立感を軽減させるために、常時接続可能なタブレットを導入したり、都市部の中小企業へ、ふるさとテレワークオフィスの設立を支援したりして、導入を推進し、2015年には33人の移転成果を出しています。
高崎市以外から移住してきた女性が、育児をしながら働けるテレワークセンター「タカサキチ」を開設し、自営タイプのテレワーカーが3人誕生し、成果を上げています。
現在も高崎市では、ふるさとテレワークの推進が進んでおり、空き家を活用したサテライトオフィス開設などが行われています。
テレワークは、国の働き方改革推進もあり、今後もますます導入が増加するでしょう。
さまざまなメリットのあるテレワークの働き方ですが、まだまだ課題も残されています。
テレワークの導入になかなか踏み込むことができない企業の多くは、セキュリティ面での不安や問題があることが多いです。
テレワークは、社内ではない、社外で仕事をすることが多く、外部に情報を持ち出すことになり、情報漏洩のリスクが高くなってしまいます。
ふるさとテレワークのサテライトオフィスや、社員が使用する端末の十分なセキュリティ対策が必要になります。
テレワーク運用の前に、しっかりとセキュリティ対策の見直しを行い、ウイルス対策ソフトの導入や、パスワード管理を徹底する、データのバックアップをとるなど、万全なセキュリティ対策を行わなければなりません。
テレワークで働く従業員に対し、情報セキュリティに対する意識を高めてもらうためのセミナーなども必須になります。
テレワークでは、社員の勤務開始時間、終了時間といた労働状況を把握することが難しくなります。
そのため、勤怠管理を徹底する必要も出てきます。
また、遠隔地であるため、コミュニケーションが取りにくく、社員の評価をすることが難しいことも課題です。
テレワークで働く社員の過小評価や過大評価が、発生してしまう可能性も高くなります。
仕事の指示の出し方や、納期期限などを誰でもわかりやすく理解できるようなシステムを構築する必要があります。
ふるさとテレワークは、地方で柔軟な働き方ができるため、生産性が大幅にアップするといえます。
地方で人材を獲得することで、街ごと地域を活性化することもできるのです。
ふるさとテレワークの働き方を導入する企業は、これからますます増加するでしょう。