前橋市にある群馬県衛生環境研究所をご存じですか?
同研究所では、衛生・保健・環境などさまざまな研究をしており、その研究データが私たちの生活に役立てられています。
そこで今回は、群馬県衛生環境研究所の沿革と研究内容について解説します。
群馬県衛生環境研究所の沿革とこれまでの活動
まず、群馬県衛生環境研究所の沿革・歴史を見ていきましょう。
長い年月のなかで組織改正や研究所の拡大などが行われて、今の研究所の姿となっています。
<明治から昭和にかけての活動>
衛生環境研究所は、明治11年に群馬県庁行政棟前にある群馬会館の位置に、群馬県衛生所が建てられました。
昭和に入ると細菌検査業務が拡大し、現在の県庁構内に庁舎を新築、地化学試験業務を行うために衛生試験所が設置されました。
昭和23年には、当時の厚生省から「地方衛生研究所設置要綱」が通達され、群馬県衛生研究所条例を制定し、この年以降設備・人員が充実していきます。
昭和53年、県行政組織の改正により、衛生研究所と公害研究センターの統廃合を行ったことにより、施設名称が群馬県衛生公害研究所に改称されましたが、平成4年に今の「群馬県衛生環境研究所」になりました。
<平成以降の活動>
平成11年には、県民に開かれた研究所として前橋市に移転、研究所の1階を展示学習スペースとして県民に解放されています。
その後、数回の組織改正を経て、食品安全検査センターの独立や感染制御センター・水環境研究センターなどが設置され、体制強化や重点的な研究が行われています。
群馬県衛生環境研究所の研究について!一般研究・特別研究
群馬県衛生環境研究所では、地球環境や感染症について研究が行われており、私たちの「日々の生活」にかかせない情報や、重要なデータなどが発表されています。
ここでは、過去に行われていた研究テーマの一部を見ていきましょう。
<一般研究>
一般研究とは、衛生環境研究所で取り組む研究のなかでも、特別研究以外のものを指します。
過去に行われた一般研究では、
・ノロウイルスの遺伝子解析法の検討
・水位変動が河川水質に与える影響について
・細菌性食中毒菌による食品汚染の実態調査
・腸管出血性大腸O157の家族内感染の感染原因調査
・群馬県におけるサルモネラ感染症の実態調査
このようなものがあり、私たちの身の回りで起こりうる感染症や環境の変化なども調査されていました。
毎年1年間で10種類前後の研究が行われており、研究テーマは群馬県のwebサイトで公開されています。
<特別研究>
特別研究とは、衛生環境研究所における研究分野のなかでも、独創的または先駆的な研究や社会的要請の強い問題をテーマにしている研究です。
特別研究では、他の研究機関と連携を図りながら実施しており、さらに研究に必要な予算を配分する権限が、同施設の所長に与えられています。
過去に行われた特別研究のテーマでは、
・地域住民と協働した多自然川づくり指標に関する研究
・森林の水質浄化機能に関する自然林と人工林との違いの予備的研究
・成人における重症呼吸器ウイルス感染症の実態に関する研究
・群馬県におけるPM2.5高濃度要因の解明
このようなものがあり、一般研究よりもさらに踏み込んだ研究が行われています。
まとめ
研究所は格式が高いイメージがありますが、群馬県衛生環境研究所では、群馬県民や群馬県の学生であれば、だれでも施設の見学ができます。
研究所ではどのようなことが行われているのか、研究所の施設の内部がどのようになっているのかを知るよい機会になるでしょう。
この機会に一度、保健・環境について学んでみてはいかがですか?